Yu Sawada
Director
経営企画室 室長
Yu Sawada

 

 

 

 

 

INTERVIEW
睡眠サービスの価値を高める

エムールの睡眠関連事業について教えてください。

さかのぼると、エムールが創業してすぐに「眠りで世界の人を元気にする」というビジョンが生まれました。寝具だけでなく、より高付加価値的な取り組みが始まったのは2013年だと思います。睡眠計測技術に着目して、東京都の助成を受けながら大学や研究機関と睡眠の可視化にチャレンジしていました。現在も行っているプロスポーツチームへの睡眠習慣指導を開始したのも、ちょうどこの時期です。さらに2014年に睡眠に関する研究機関を設立しました。当時は寝具ECの企業のコトづくり程度のニュースでしたが、今思えば最近注目を集めているスリープテックの先駆け的な取り組みでしたね。

具体的にどのようなサービスをつくりましたか?

初期にローンチされたのは「まくらえらび」ですね。エムールが睡眠計測に注目した背景が、「個々人に合った寝具を提供したい」という想いだったのですが、専門家や販売員がいないシーンでも、お客様が自分に最適な寝具が選べるようなアプリサービスとしてローンチしました。ECを得意としていて、睡眠研究も行っていた当社だからやる価値のあるチャレンジでした。有名スポーツ選手が使っているからだったり、この寝具だったら万人に合うといったような既存の寝具マーケティングへのアンチテーゼでもありました。全国の百貨店に導入いただけたのですが、結果的には販売員がいた方が売れる…という結論になってしまい、別の角度での検討が必要となりました。今思えば、もっと深く掘り下げることのできたサービスでもあります。

同時期に別サービスとして開発を進めていた睡眠センサリングは、当初、B2Cで直接エンドユーザーに販売、提供する形を目指していました。2017年頃のことです。結果としては、早かった…ですね。今ほど睡眠を良くしていこうという風潮も弱かったですし、スリープテックという言葉も国内では夜明け前でした。他の寝具家具の販売数と比べると売上インパクトは…とお世辞にも良いスタートではなかったです。

やめようという判断はなかったのですか?

当時はなかったですね。じゃあ誰だったら睡眠サービスが必要だろうか?と議論を重ねました。B2Cが時期尚早であれば、ターゲットを法人に移してみようと始めたのが「スリープテクネ」です。ちょうど健康経営の推進が叫ばれていましたし、睡眠を用いた健康経営支援サービスは他に無かったので、従業員の睡眠を計測して、集団分析するコンサルティングサービスを開始しました。このころから、世間的にも「睡眠負債」に注目が集まり、睡眠をテーマとしたスタートアップ企業が立ち上がったり、大手企業様から新規事業開発のご相談を受けることが急激に増えました。やり続けて良かった点としては、具体的な睡眠改善の事例やユーザーの声が聞けたことですね。ずっとやり続けてきたアスリート向けのプログラムを、企業で働く一般の会社員の方向けにカスタマイズして実施していくうちに、私たちなりの睡眠習慣を改善するためのメソッドが確立されてきました。

現在はどんな取り組みを行っていますか?

2013年以来、エムールが一貫してやってきたことは、自身の睡眠傾向にあわせて自分自身で適切な対処ができる「睡眠セルフマネジメント」の推奨と提案です。自分に合った寝具を選ぶことも、習慣改善に取り組むことも「適切な対処」の一つですね。現在は、この思想とメソッドを軸としたサービス開発を進めています。

具体的には、2022年内に通信教育の大手プロバイダーと共同開発した睡眠教育サービスが全国販売開始となります。その他、自治体や大手企業と、睡眠セルフマネジメントを軸にした開発プロジェクトが進行中です。睡眠関連サービスは、何度も何度も何度もピポッドを続けてできた点が繋がり、真っ白なキャンバスに輪郭が描けてきました。当面は描いた輪郭を太く、また精緻にしていきたいと考えています。